猫ちゃんは一般的に水を飲むのが苦手なため、泌尿器系の病気にかかりやすいと言われています。
そうとわかれば何か対策をしたいですよね。
とはいえ水を飲むように誘導するのは難しい!
本記事に書いてあること
- 水を飲まない猫ちゃんの理由
- 一日の必要量や脱水チェック方法
- 水分補給の作戦と実践したこと
工夫をすれば、今よりも水分補給ができるようになります。
それは「病気のリスクを少し下げられるかもしれない」ということ。
小さな対策からはじめてみましょう!
祖先は砂漠出身!気になる体のしくみ
捕まえた獲物から水分を摂り、おしっこを高濃度に凝縮して出すことで体内の少ない水分を上手に使い排出できる体のしくみをしています。
少ない水分で生きることは出来ますが、その分病気のリスクも上がります。
リスクが上がるとはどういうことでしょうか?
次の章で詳しくご説明します。
水を飲まないことで上がる病気のリスク
尿の濃度が濃くなる=悪影響を及ぼす
- 尿路結石症
- 膀胱炎
- 慢性腎不全
など…
よく聞く病名ですが、それぞれどのような病気なのでしょうか?
順番に見てみましょう
尿路結石症(尿道が狭いオスや肥満体型に多い)
尿の濃度が上がることで尿石ができる病気です。おしっこのたびに尿道を傷つけるので、痛みを伴います。
1日以上おしっこが出ないと、最悪命に係わることも。
膀胱炎(肛門と尿道口が近いメスに多い)
細菌感染で炎症をおこす病気です。おしっこを出したくても出しにくく、残尿感が残るため頻繁にトイレにいきます。
血尿など、痛みを伴うこともあります。
慢性腎臓病・腎不全(全ての猫ちゃんが対象)
腎臓の機能が低下していく病気で、早期発見が難しいのが特徴です。一度慢性腎不全になると完治は不可能と言われています。
ふだんから愛猫の様子をチェックし、「トイレの時間が長い」「何度もトイレに行く」など少しでも違和感を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
上記の病気は水分補給で全て防げるものではありませんが、少しでもリスクを減らせるなら・・私たちに出来ること=「水を飲ませる」ことです。
慢性腎臓病・腎不全ははっきりと原因がわかっているわけではありません。
「歯のトラブルが原因」とも言われているので、あわせてデンタルケアを意識してみましょう
猫ちゃんは喉の渇きに鈍感?
あなたに残念なお知らせがあります。
- 水分補給が少ない=尿が濃くなる
- 尿が濃くなる=膀胱炎や尿路結石症を引き起こす
- 水分補給が苦手=それでも生きていける体のしくみ
人は喉が渇いたら水を飲みますし、夏場などは脱水予防として『喉が渇く前に水分補給』というのが一般的ですよね。
残念ながら、猫ちゃんには通用しません。
喉の渇きに鈍いだけで、からだは水を必要としている。
猫ちゃんの必要な水分量は1㎏あたり40ml前後と言われています。
そう言われても愛猫が毎日どのくらい飲んでいるかわからない!160mlと言われても・・
大丈夫です。簡単に調べる方法があります!
飲水量の調べ方
普段の飲水量を調べることが健康への第一歩!
必要な水分量をしっかり摂れているのか、調べる方法は以下の通り
- 水を入れたメモリを記録
- 最初のメモリから、減ったメモリを引き算する
- 飲んだ量がわかる!
視覚的にわかりやすいので、とてもおすすめです。
- 計量カップで量り、器に入れる
- 帰宅後、器の残量を計量カップに戻す
- 最初の量-残量=飲んだ量!
・・少し手間ですが、計量カップがあれば調べることが可能です。
では最後、多頭飼いの場合はどうしましょうか?同じ器から水を飲む生活をしているので難易度が高いですね
- 一日別の部屋で生活をしてもらい、上記の量り方で調べること
一匹ずつ専用の器から飲んでもらい量る方法が良いようです。
現実的には少し難しいですが、愛猫の健康のため実践してみる価値はありますね
脱水チェック
命にかかわる怖い脱水のチェックは今すぐできます
喉の渇きに鈍感な猫ちゃんが脱水になっていたら大変です。私たちにも簡単にできる脱水チェック方法はあるのでしょうか?
- くびの後ろを指で優しくつまむ
- ヒフがすぐに戻れば問題なし
- ヒフがゆっくり戻るなら危険信号
猫ちゃんは体調不良を隠すのが上手なので、私たちが先回りして発見してあげましょう!
ちょっと気になる水のQ&A
水を飲んでほしい!・・と言っても・・
大丈夫です。
日本の水道技術はとても高く、安心て与えることが出来ます。
メリットとデメリットがあります。
メリット:水道水は微量の塩素やカルキを含むので敏感な猫ちゃんは匂いに反応して飲まないことがあります。
浄水器を通してあげる方が飲みやすいです。
デメリット:夏場など、水を置きっぱなしにする時間が長いと水は傷みやすくなります。
塩素やカルキは水を清潔な状態に保つので、浄水器を通した水は長いお留守番には向きません。
大きな違いはミネラルの量です。わたしたちはミネラル配合と言われたら体に良さそうに感じますが、多く摂る分にはねこちゃんはNGです。
必須栄養素ではありますが、大量に摂取してしまうと良くありません。
尿石をつくる可能性があるので、ミネラルを極力含まない方が安心です。
ひとことに「水」と言っても、選択肢が多いですよね。
- 水道水
- 浄水器を通した水道水
- 市販のペットウォーター
- 軟水と硬水
カルシウムとマグネシウムが多く含まれるのが硬水です。
硬度の基準は
0~60㎎/1ℓ未満を軟水
60~120㎎/1ℓ未満を中程度の軟水
120~180㎎/1ℓ未満を硬水
180㎎/1ℓ以上を非常に高度な硬水
参考:WHO世界保健機構
数値だけ見るとピンときませんが、軟水と硬水を飲み比べてみると違いがわかります。
日本の水は軟水なので、安心して与えることが出来ます。
海外にお住いの方は要注意!
水を飲んでもらう工夫
キッチンのシンクに入ったり、水滴がついている器を舐めたりと好き放題をしている猫ちゃんですが、用意している水を飲んでくれないと飼い主さんが悲鳴をあげています。
飲ませたい飼い主VS気分屋な猫ちゃん。
ポイントは興味を刺激してあげることです!
普段はフードの隣に置いていますか?食べたあと一緒に水を飲んでほしいですが、フードの隣に水があることを嫌がる猫ちゃんがいます。
とはいえ色んな場所に設置すると水の入れ替えが不便なので、フードの横プラス落ち着ける静かな場所に追加してあげましょう
フードとセットになっている器は見た目も愛らしいのですが、素材を変えることで飽き性な猫ちゃんが興味をそそられることがあります
色彩感覚は人間のように鮮やかに見えていませんが、黄色や緑色など好む色があります。
好きな色のおもちゃにしか反応しない猫ちゃんもいるので、思い切って愛猫の好きな色探しをしてみませんか?
嗅覚が優れていて綺麗好きなうえに繊細、そんな猫ちゃんだからこそ目の前の水が気に入らない場合があります。
面倒と思わずに、一日に何度か新鮮な水に入れ替えてあげましょう
水の入れ替えが大変な人は、自動給水機に頼るのはいかがでしょうか?
流れる水が大好きですし、安心して新鮮な水が飲めるのでおすすめです
ドライフードから得られる水分は約10%、ウェットフードから得られる水分は約80%と言われています。
毎日のフードにウェットフードを組み込むことで、満足しながら水分補給ができる優れものです。
グルメな愛猫も喜ぶごちそう缶詰『カナガンキャットフード ウェット』ドライフードとウェットフードをまぜて与えるミックスフィーディングはご存知ですか?大変おすすめなのでぜひこちらもご覧ください
ひげが当たらないような広い口や高さがあって飲みやすい器が人気。器の置き場所は、愛猫がお気に入りの場所を観察して探してみて下さい。
猫ちゃんの防災セットの準備はOKですか?災害時は猫ちゃんにも大きなストレスが予想されます。
香りもよく、適切な水分補給のためにもウェットフードを用意しておくと安心できますね
夏目家で挑戦してみたこと
個性にもよりますが、実際に試してみたことをご紹介します。
- 器を増やして、違う場所に設置
- おもいきりおもちゃで遊ぶ
- (おまけ)よくほめる
- 指を濡らして誘導する
順番にご説明します。
今まではフードの隣に置いていたのですが、追加購入した器はリビングの角に置きました。
もとから水は飲む方でしたが、結果的にフードから離した場所で飲む回数が増えたので驚きです。
器を倒してしまったり、虫が入るなど、飲めない場面を考えて2つあるのは便利だと実感しました。
ひめちゃんはおもちゃで遊ぶのが大好きです。
ネズミや羽のおもちゃでたくさん走りまわったあとは、思い出したように水を飲みに行きます。
一生懸命飲む姿に笑ってしまうのですが、思い切り走ったあとは喉が渇くようなので積極的に遊ぶように心がけています。
これは個人的なことなのですが、なにをしても基本ほめています。
- トイレのあと
- お水を飲んだあと
- いっぱい遊んだあと
猫ちゃんはルーティーンを大切にするので、お水を飲んだ後にたくさんほめたら習慣化できないかなと密かに思っています。
「さっき水を飲んだのはいつだったかな?」と気付いたら目の前で水を入れ替えて、指を濡らして口にタッチします。
100%舐めてくれるので、そのまま器と口を少し往復すると自分から器に近づき一生懸命飲んでくれます。
美味しい!と思ったのか飲んでみようかな!と気が向いたのかはわかりませんが、よく飲んでくれるので、甘えたさんな猫ちゃんには特におススメです。
まとめ
「猫ちゃんは本来、あまり水を飲まない動物です。」
それは砂漠出身なこともあり、少ない水分で生きていける体のしくみをしているから。
しかし少ない水分を上手に活用できるだけで、足りているというわけではありません。
水分が不足すると尿路結石症や膀胱炎、慢性腎不全のリスクが上がります。
私たち飼い主は大切なねこちゃんの健康を守るという使命があります。
歯の健康であったり、適正体重を管理する事も含まれますが、健康を守るためにできる第一歩は水を飲んでもらうことです。
夏目が実際に試したこともご紹介しましたので、少しでも参考になったら嬉しいです。